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Helpfulnotes記者探訪記

 【特集】元祖単位制高校にみる情報科授業
   
* 都立新宿山吹高校学校説明会・体験入学/情報科教諭へインタビュー

◆皆さん 暑い夏をいかがお過ごしでしたか?
 このコーナーではhelpfulnotesの記者達が、
教師の皆さんや塾の先生などを対象とした様々な情報をお届けしています!

東京都立新宿山吹高等学校

 盛夏を迎え、各地の中3生達は目標に向かっていよいよ 大きな坂を駆け上がり始める8月の初旬、元祖単位制高校として知られる都立新宿山吹高校が中3受験生に向けた体験入学会を開催した。
 17年前都立初の単位制高校として注目を浴びた同校だが、現在では都立で唯一「情報科」を設置する高校として、その存在感をさらに強めている。

話題となった学校

 地下鉄東西線の早稲田駅から歩いて10分。外苑東通りを右折し、早大通りを少し歩くと右側にまだ新しい感じの綺麗な7階建て位の建物が見えてきた。看板の「都立新宿山吹高校」の文字を確認。都心の学校のせいか面積はそれほど広くなく、いかにも学校といった荘厳な感じの囲いや門はなかった。

 8月の暑い夏の日。学校の前の道路に沿って並ぶ木々からは蝉の鳴き声がミーン、ミーンと響き渡っている。入口を確認して中に入った。

中村秀行校長

 まずは校長室を訪問。同校の中村秀行校長に挨拶する。
「それなりに課題はありますが、なかなか面白い学校ですよ」
4月からこちらへ赴任してきたというエネルギッシュな感じの中村校長の言葉。


学校について少し話を聞く。

 

 ここは普通の高校と違い「単位制高校」であるのが大きな特徴。創立当時はこういった高校はまだ珍しく都立初の単位制高校としてマスコミ等にも注目され話題となったことを記者も記憶しているが…。



 

■Helpfulnotes! ( = 注釈・脚注)■

 「単位制高校」とは学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる高校で、1988年に定時制・通信制課程で導入、1993年からは全日制課程においても設置が可能となった。1994年には56校しかなかったが、2000年に入りその需要とともに急激に数を増やし、2006年には738校もの単位制高校が確認されている。

 単位制高校の大きな特徴はクラス単位で授業やホームルームを行わない事。
各個人が選択した授業に沿って教室を移動する。新宿山吹高校は校則もそれほど厳しくなくないということもあり、「自由」な校風のイメージが強いが、実際のところ自己責任が伴う「自由」にはそれなりに大変な部分もあるようだ。

生徒相談室入口

 以前は集団に馴染めない子がいるという理由で、同校では存在しなかったホームルームも今年から週1回ほど行われるようになったらしいが、

「ホームルームがない頃は、クラス担任を頼っての相談事ができませんでした。でも高校生は、まだ未熟ですから誰かに頼りたい時期なのです。結局保健室や相談室などを利用する子が多かったのですが、ホームルームを行うようになってから担任を頼る子が多くなりました」とのこと。




 そのまま、当日実施された定時制の「体験入学会」に中3受験生や保護者らと一緒に参加させてもらうこととなった。


「ユニーク」な学校

 まずは大講義室にて当日の概要説明を開催。
中村秀行校長

「本校は非常にユニークな学校です」

冒頭の挨拶で中村校長がいきなりこう切り出す。同会場には中3生とその保護者など157人が一堂に会し耳を傾けていた。中村校長は続ける。「本校は17年前に作られた学校ですが、大きな特徴は昼夜間4部制の単位制・完全無学年制であるということです。単位制でしかも昼夜間4部制の高校は、17年前は本当に珍しかった。ここ10年位で都立高校の大きな改革があり、本校を真似て似たような昼夜間3部制の単位制高校などもいくつかできましたが、細かくはなかなか真似ができないほどの特徴が本校にはあるのです」
説明風景

 新宿山吹高校は、都立で初めての単位制高校として 1991年4月に開校。普通科と情報科を設置する定時制課程のほかに、通信制課程、社会人向けの生涯学習講座があるのも特徴だ。

 

 「定時制」といっても朝8:45から夜21:20までの昼夜間4部制で、昔ながらの定時制と違い、昼夜間で授業をとれるようにすることにより3年で卒業できる仕組みにしたのだという。うち「情報科」は2部と4部のみに設置されている。

「授業は簡単に言えば大学のように自分で選択して移動していくもので、うちの学校はチャイムが鳴らない」と中村校長。「だから今日これから始める『山吹体験』では自分でしっかり時間をみて行動して欲しい」と出席者一同へ強く語りかけた。

 また、他の教職員の方達からも説明があり、併修制度を利用する事により、卒業に必要な74単位を3年間で修得することができること、普通は40人授業だが定時制だと30人授業になり、生徒一人一人に目が行き届くようになるといったことなどが語られた。


自分で時間割を作る

ガイダンスをする情報科担当の滝口教諭

 概要説明の後では、実際に自分で選択した時間割に沿って教室を移動する「山吹体験」が開催された。各教室で各科目の10分間のガイダンスを実施。生徒も保護者も自分が好きな科目を選んで該当の教室を自由に移動する。


 記者はまず「情報科」のガイダンスを選択。同校は都立で唯一専門の「情報科」を設置している。19科目を展開し、ソフトウェア開発やデザイン、コンピュータグラフィックス、情報分析など幅広く情報分野を学ぶことができるようだ。

 情報科担当の滝口教諭が前に立って説明を行う。 「情報の授業は合わせて200台以上のパソコンを設置する4つのコンピュータ教室でほとんど行います」とのこと。

授業は最初の1/3位で講義を行い、 あとは実習「パッケージデザイン」

 専門学科「情報科」は1/3を専門科目にしないといけないという専門科に対する規定があるため、普通科でも必須になっている「情報B」以外の情報19科目の中から25単位をとらないといけない。新宿山吹高校でもグループごとに最低とらなくてはいけない単位数が決められているのだそうだ。

 ちなみに情報科はなんと16歳から54歳までの生徒が在籍しているらしい。滝口教諭は続ける。
「中にはマウスも不自由なレベルの生徒もますが、その分授業は1教師につき15人の少人数体制で生徒個々を教えやすいようにしています」
授業は100分間の最初の1/3位で講義を行い、あとは実習。

10人以上の情報科専門の教員をそろえ、基本的な内容は1年で学び、あとはプログラムやデザイン、情報分析など自分で好きな分野を選んで、1年間で5科目程度の情報の科目を学んでいく。


簡単なプログラミング

 ソフトウェアやデーターベースの授業も充実している。滝口教諭も
「私が情報の世界に入ったばかりの頃、ソフトウェアはおまけの存在でしたが、今は大変重要な存在です」と説明。

 高価で著作権もうるさいゆえ、家庭ではなかなか用意しにくいIllustratorなどのソフトもここで習得することができるようだ。


 そのほか、授業で作った作品を大学のAO入試に提出することも可能だという。また、文科省主催のICTスクール、情報セキュリティキャンプなどに参加した場合、同校の単位にすることもできるそうだ。

 
パッケージデザイン


りんごのクッキー


 最後にその情報科の体験授業を全体で3教室に分か
れて実施。

 コンテンツ系の授業「パッケージデザイン」ではコンピュータを使ったデザインについての授業を体験。Illustratorを使って「りんごのクッキー」のパッケージのデザインをする。

 どんなお客さんに買ってもらいたいか、商品のイメージカラーは何色なのか。

悩む、う〜ん。
「マルチメディア表現」


「う〜ん。ここはこういう色にしたほうがいいかな?」
皆四苦八苦しながら考える。商品の特徴を短い言葉で表すキャッチコピーも勿論必要。
 記者は「りんご さっくり舌触り」と入れた。なかなか良い出来だ。

VBAで図形のプログラムを作成
「簡単なプログラミング」


 そのほか「マルチメディア表現」ではFlashを使ったインタラクティブなホームページの作り方について、システム系「簡単なプログラミング」では、VBAを用いて運動する図形のプログラムを作成した。

 

 


*** 情報科担当教諭へインタビュー ***  

体験入学会の後、情報科担当・滝口郁志教諭へ授業についてお話を伺った。

多岐に渡る情報授業

情報科担当の滝口教諭

―今日は色々と有り難うございました。昔は「情報」というとプログラミングやシステム開発が主流でしたが、今は様々な分野があり勉強する幅が広がってきているのですね。

滝口教諭:
そうですね。今は19科目のうちそういったシステム開発分野のものは、全体の1/3以下です。最近の情報系の科目はネットワークやマルチメディア、Webなど多岐にわたってきていると思います。デザイン系の科目なんかも最近は人気が高いですね。

 


情報系の大学とはどのように違うのですか?

滝口教諭:
水準としてはやはり大学のほうが高いです。それに大学は、課題が与えられて、後は学生が自分で行いますが、高校生の場合は、まだ一人では出来ない事が多いので、こちらで手取り足取り教えてやらなくてはいけない感じです。


―ただ高校生ですとやはり若いですから吸収力がとても良いということはありませんか?

滝口教諭:
確かに中にはとても勘の良い子がいたりします。実を言うと普通科の子で余裕があって情報科の専門教科の授業をとっている子が意外に優秀だったりするのです。中には普通は20〜30点しかとれないようなアルゴリズムの課題を70点位とってしまった子もいました。

 

実習でわからないところは 手取り足取り「パッケージデザイン」

 

―生徒さんの就職先など進路はやはりこういう方面になるのですか?

 

滝口教諭:うちはあまり就職しないです。ほとんどが情報系の専門学校か大学へ進学します。専門学校が一番多いですね。高校の段階でこのようにしっかり情報系の勉強をするので、専門学校に入っても苦もなくやっていける子が多いようです。

―卒業してコンピュータ関係の会社に就職されるような生徒さんはいらっしゃらないのですか?

滝口教諭:
「情報科」ができてまだ5年目なので、第1期生でもまだ大学か専門学校にいる状態です。なので実際の就職はどうなるのかはもう少したたないとわからない感じですが楽しみにしているところです。

―2002年度から「情報科」を始められたわけですね。


滝口教諭:
はい。ちなみに我々としては何人位が教員として戻ってくるかということを目安にしています。情報の教員として戻ってきたら本物だと考えているのです。

―「情報科」のある高校はまだあまりないですよね。

滝口教諭:
「情報科」にも3種類ありますが、商業科の情報処理か工業科の情報技術科は20年位昔からありました、専門学科「情報科」は6年前に突然発足したのですが、たまたまうちに「情報」の免許を持った教員が12〜13人もいたため白羽の矢が当たりました。

―それは多いですね。なかなか「情報」を教えられる先生というのはいらっしゃらなくて、教えるのは大変ではないかと思います。今の時代、生徒のほうができてしまったりする場合もありますよね。

滝口教諭:
そう。だから正直なところ、まさか専門の情報科がこんな形でできるなんて思っていませんでした。


発想とネタ

―滝口先生はもともとずっと情報教育の担当だったのですか?

滝口教諭:
そうです。商業科で15年やっていて、ここで5年目ですが、その前に、教職員へパソコンの研修を行う情報教育センターでも、指導を10年やっていました。

―情報を勉強していく上で必要な姿勢は?

滝口教諭:
発想とネタかもしれない。練習問題で課題を作るにしても、カーソルで何か動かす画面を作る場合ロケットが動く画面にしようとか発想がないとなかなか思いつかない。素材作りがとても難しいのです。あと評価も難しいですね。

―評価は個性の問題もあるから確かに難しいですよね。


滝口教諭:
やっぱりできるかできないかだけだったら評価にならない。できなくてもどこまでの思考過程をふんでいっているのかそのステップをみないといけない。一番簡単なのは「虫食い問題」ですが、完成品の穴空き部分をあてはめてもらいます。半分位とれればいいですが正直テストでの評価は難しいところです。日々の課題のほうが重要かもしれない。

―言語はどのようなものを教えていますか?

滝口教諭:
教えるのはロジック、アルゴリズムが中心なので、言語は自由に勉強してもらう感じですが、やっぱりC言語をやっておくと後々有利だと思いますね。ただロジックを教えるのは難しく。1000人教えて3人がものになれば良いほうだとも考えています。


―生徒さんは情報処理の資格試験なんかは受けているのでしょうか


滝口教諭:
皆結構すごいものをとっていますよ。基本情報どころかソフトウェア技術者など高度試験にあたるものをとった子もいました。しかし資格を持っているから実践的なことをできるかどうかはまた別の話ですね。



情報科の先生

―情報科の先生はどんな経緯でなられた方達なのでしょうか

滝口教諭:
12人いるうちの6人が商業科の「情報処理」で教えていた先生、工業科で教えていた先生は2人、残りが情報系の大学などを「情報」の科目が導入されて以降卒業し「情報」の教員免許を専門的にとった若い人達です。全員「情報」科目の教員免許は持っているのですが、専門「情報」の教員免許をとった若い人達は、数学の免許も必要な上(東京都の場合)10〜20倍以上のかなり高い倍率をくぐり抜けてきているので「生え抜き」でとても優秀です。

―ただ商業科、工業科の出身の先生も内部で培われたものがあるのではないですか?色々な生徒さんを見てきていらっしゃるのだし、教えるという意味では同じでは?

滝口教諭:
勿論そうですが、ただ専門学科「情報科」となるとまた教えるネタが変わってくるので、その辺りで難しいかもしれません。商業科なんかだと複利計算とかお金の扱い関連で全部作れたのですが・・・。


授業づくり

―情報科の課題、ネタづくりには四苦八苦されているのですね。

滝口教諭:
そうですね。ただ商業系ならではの得意分野もあります。例えばパッケージを作る授業では商業デザインの分野で培ったマーケティグの知識が役に立ちます。専門学科「情報科」のみで入ってくると、逆にそういうネタを考えるのが少し大変かもしれないですね。

―情報科に入ってきた生徒さん達へまず一番始めに教えないといけないことはなんでしょう?


滝口教諭:
基本的なことなのですがキーボードの操作ですね。情報教育は小中高で同時に始まっているので、今入ってきている子達は、小学校か中学校でやっているはずなのですが・・・。

―情報科の先生が一番知りたいのはやはり「授業づくり」についてのようですが、どのような問題を抱えていらっしゃると思いますか?

滝口教諭:
そうですね。文科省の学習指導要領としてあらすじだけははっきりしていますが、それに沿ってどの位のレベルで教えるべきかという問題があります。またテキストそのもの自体がないという点も問題です。一部単元では教科書会社が「情報科の教科書」とうたって出しているものもありますが、無い分野は自分でパワーポイントなどで作るか、参考となるような一般書を買ってくるしかない。自分で作るのは正直とても大変で、そうした資料作りに追われて情報科の先生はとても忙しいのです。データーベースやプログラミングは一般書でノウハウ本がわりと出ているのでそれを教科書代わりにできますが・・・。


参考となるもの

―情報処理の資格試験のテキストなんかは利用できませんか?


滝口教諭:
う〜ん。日々の課題に対してはあまりあてはまらない感じですね。やっぱり本屋に行って売れ筋のものを選んでくる感じですが、IllustratorとかFlashなんかだと入門書も山ほど出ていますし・・・。

―結構マルチメディア関連は副読本というか参考本が出ていますよね。問題はデーターベースやプログラミングの方面ですか

滝口教諭:
データベース本はもう分野として確立しているからかなりあります。プログラムの方も昔から老舗ですし、ただ大学はもうプログラミングのほうはやめてしまいましたよね。数年前まではプログラム言語は学習の主流で、CやJAVAをやったりしていましたよね。

―やめたというのは言語そのものよりアルゴリズムのほうを勉強するようになってきたということですか?


滝口教諭:
はい。ただ最近は少し戻ってきて、また言語を教えるところも出てきた感じですけどね。


どこまで教える?

―言語だとどのレベルでどの範囲まで教えればいいのかなという問題がありますよね。
滝口教諭:それは商業科の時代から長く教えているのでわかるのですが、?
一応アルゴリズムの分野では「ソート」までを卒業時点の到達目標にしています。

―どの水準までを到達目標にするかは学校によってまちまちになってしまいませんか?

滝口教諭:
そういう意味では伝統的な教科はとても楽だと思います。モノによっては教科書会社が普段の小テストから定期考査の試験問題まで作って出してくれていたりしますから。情報教育だとテストは勿論、授業自体が全て手作りで一から作らなくてはならないのです。大変です。毎日毎日が教材作りで追われています。

―とても一人の先生では足りない、何人も先生がいないと無理なのではないですか?

滝口教諭:
それがですね。本校は単位制でしょう。ですから生徒指導に時間をかけなくてよい分、授業づくりに注力できるのですよ。普通の学校ではこんな事は多分できないと思います。

―なるほど。

滝口教諭:
ただその分授業で勝負しなくてはいけないので、そういう意味では大変です。面白くない授業をすると生徒は帰ってしまうので、大学と同じですね。厳しいですが、だから授業にも力が入れられる。

―ただあんまり水準をあげても生徒達はついていけなくなってしまう

滝口教諭:
そうだからその匙加減が難しいです。レベルをいかに統一させるかですが、前の年の授業で作ったものも今年になってレベルが違ったりすると使えなくなってしまったりしてしまうのです。

進路相談室


将来は?

―大変ですよね。そうして授業を受けながら生徒さんは自分の進路を決めていかれるわけですが、大学受験をする場合、試験科目が授業の内容と結びつかず苦労することなどはありませんか?

滝口教諭:
国立は全科目勉強しないといけないので不利ですが、私立は入試対策の数学の授業もやっていますし、AO入試を利用すれば情報科で作った作品を提出できるので、その点は有利です。情報科の課題で驚異的に勘が良かった子はロボット工学で有名な都内の某情報系私立大学へ行きましたね。

―生徒さんの進路と言えば、最近は自分の将来をなかなか決められない子供達が増えてきているようですが・・・どう思われます?

滝口教諭:
SEやプログラマーになりたいと思っている子達は多いですし、実際気がついたらそうなっていたという人も割と身近にもいますね。NHKの平成仕事図鑑が高校生100人へ実施したアンケートによると、「なりたい職業」の3位がプログラマーになっています。自分の近くにSEをやっている人がいたりしてイメージしやすいのでしょう。

―結構皆しっかり考えているのですね。ところで情報科としては将来的に何か考えていらっしゃることはありますか?

滝口教諭:
実習が苦手な生徒もいるので座学だけで卒業できるようになる仕組みも作りたいと思っています。

―中には途中でやはり自分に向いていないかなと思ってしまう生徒さんもいるかもしれませんから、必要かもしれませんね。


単位制高校は天国?


―情報科のこととはまた話が変わりますが、この学校は昼夜間と授業を行っているにも関わらず部活動がさかんなようですね。

滝口教諭:
そうですね中には一日中やっている部活もあります。各自授業の合間をぬってそれぞれ都合がつく時に参加しているようです。うまく授業を組み合わせれば週に3?4回位しか学校にこなくてもいいようにもできますし、自分次第である程度時間の融通を利かせることができるというあたりが単位制高校の便利なところだと思います。卒業生で在学中からプロ棋士やスポーツ選手として活動していた人などもいますが、そういう忙しい人達にとっては自分の都合が良い時に授業をとれるからいいですよね。一方で、自己管理ができずなかなか単位がとれないまま何年も学校に残ってしまう子もいます。最長で6年までいられるのですが。あと何故か一度別の高校を卒業した人が大学に通いながらうちの高校にきていたりもしていますよ。

―自己責任はともないますが、何かやりたいことがある子にとっては非常に良い環境のようですね。今日はお時間頂きまして大変有り難うございました。


■取材を終えて■


とても充実した授業を見せてくれた同校の情報科授業。授業力のある単位制高校は、主体的に学ぶ姿勢があれば、やりたいことをするための時間の融通もきき、しっかり勉強できてよいようだ。しかし、そうでない場合はともすれば、集団生活の煩わしさからは解放されるものの、大事な時期に孤立無援な状況にも陥りかねない。自分が決める進路は自己責任がともなうし、15歳の子供達には重い選択だが、それゆえに学校選びに関してはしっかりとした情報を提供することが必要ということだろうか。


【取材/執筆:神田麻里子】


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