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Helpfulnotes記者探訪記

  【特集】教師の心の病-後編

  話し合いが出来る職場


東京メンタルヘルス・アカデミー所長:
臨床心理士・武藤清栄先生

プロフィール:
 武藤 清栄(むとうせいえい) 東京メンタルヘルス・アカデミー所長。1951年秋田県生まれ。国立公衆衛生院衛生教育学科卒業(専攻:健康教育およびメンタルヘルス)。心とからだの相談センター主任カウンセラー(セクシャリティおよびマリッジカウンセリング)、サンシャイン医学教育研究所カウンセラー(医学生のカウンセリング)、医療法人梨香会秋元病院精神科心理療法担当を経て、現在東京メンタルヘルス・アカデミー所長。臨床心理士。日本精神保健社会学会副会長。
 著書に、『職場のメンタルヘルスQ&A』(日本法令)、他多数。


◎まずは「聞く」ことから始まるー教師のメンタルヘルスの専門家・武藤清栄先生にカウンセリングの方法などを聞いた記者うさパンだったが・・・。

【記者データ】
うさパン:年齢不詳のうさぎ記者。フリーとしては新米だが、雑誌社、編プロ、専門紙新聞社などで修行を積んできた。塩ラーメンが好物。

 


 

-前編からの続き-

きっかけは「不登校」

うさパン先生はどうしてこうしたお仕事をはじめたんですか?

武藤先生:
今からちょうど33年位前のことなんですが、ある家族から不登校で精神病院に入院中の息子さんがいるということで、勉強を教えてくれないかと頼まれたんです。その子に勉強を教えてあげたら今度は「一緒に遊んでよ」と、それでどんどん元気になっていったんですが、それを見ていた隣の患者が「私もやってくれない」ときたので「いいよ。じゃあお金出してくれたらやるよ」という話になったわけです。それでそれをカルテに記入するようになって、「ひょっとしたらこれビジネスになるのかなあ」なんて思ったわけですよ。不登校が少しずつ多くなってきた頃のことですが、それから本格的に臨床心理を勉強したんですね。


うさパン職場のメンタルへルスのほうの活動を始めたのはいつ頃ですか?

武藤先生:20年くらい前ですね。それまでは不登校や性の相談、それから医師国家試験に受からない人の相談などもやっていました。医学部を出ても国家試験に受からなくてうつ病になったりしている医学生さんのカウンセリングです。こうした人たちの中には医者を辞めて普通に就職したりしていった人もいました。職場のメンタルへルスのほうは「現代の管理学」という管理職研修で講師を頼まれて以来よくやるようになりました。


研修はなるべく「参加型」


うさパン管理職研修とはどんなものですか?コーチングとかですか?

武藤先生:そうですね。部下を指導するためにはどうすれば良いのか、ロールプレイなどを用いて説明します。もともと教師になりたかった時期もあったことや教育に関しても興味が強かったことなどから学校の管理者向けの研修もよくやるようになりました。

うさパン研修の講師を行なう上で注意していることはありますか?

武藤先生:やっぱりなるべく一方通行にならないよう参加型でやるようにしています。いかにドラマチックにやっていくのかが重要なのでロールプレイなどをとり入れることはやはり大切です。

うさパンこのセンターでは教師のメンタルをサポートするための仕組みがあると聞きましたが・・・

武藤先生:問題は深刻ですから教師のメンタルヘルスをサポートして行くためのしっかりとした仕組み作りはやはり必要でしょうね。教師のメンタルサポートシステムとして、今50、60の契約をしていますが、普通の公立の学校の場合、直接は教育委員会と契約しています。最近は専門学校との契約などもちょっと増えてきました。


専門性を超えた「芸」


うさパンそう言えば・・・文科省から各学校へスクールカウンセラーを何人か派遣するという計画が出ていますが・・・?

武藤先生:やっぱりそういった方達が活躍して頂ければと思いますが、あんまり頭でっかちなカウンセラーが行ってしまうとちょっと難しいですね。

うさパン「頭でっかち」にはならないように普段から注意してカウンセリングをされているわけですね。

武藤先生:そうですね。大きく分けて「生活の問題」「具体的な問題」「自分の問題」という形で考えていくようにしています。
 「生活の問題」とは、家族の交流ができていない、失業した、子どもがいじめられて不登校状態になっているなど、こういったものは全て個人や家族の「生活の問題」ですよ。
 「具体的な問題」とはこうしたローカリティによって起こる問題を具体的にすることです。そうして悩みの本質をより深く掘り下げることです。理論武装のみではないところから理解しなくてはなりません。
 「自分の問題」とは、それに対して自分はこうして乗り越えましたとか、自分の例を出す事です。その上で逆に相手に色々と聞く。そうすると一方的にはならないわけです。また、そういう時は「パンクチュエーション(句読法)」を使ったりするとコミュニケーションに創造性が生まれます。「パンクチュエーション」とは、例えば「うちのおばあちゃんワガママなんだよ」というのを「うちのおばあちゃん、我が、ままなんだよ」と言い直すと、同じことでもだいぶ違って聞こえます。「ワガママ」とは「我」が「まま」なことだと気付かされるわけです。

うさパンカウンセリングも色々とこうした「技」を身につけて行なっていくものなんですね。

武藤先生:そうですね。「技」というか、専門性を超えた「芸」の世界と言えるでしょう。


ちょっと皆で話そう


うさパン結局のところ、教師が職場でうまくやっていくため最も大切なことは何でしょうか?

武藤先生:やはり「話し合える」職場でなくてはならないということです。話し合えるような校長と教頭のリーダーシップ、それが教室にも反映され家庭にも反映されます。「ちょっと皆で話そう」「昨日A君とB君が喧嘩したみたいだけど」「皆で『あー今日は話し合いして良かったー』と後で言えるようなそんな話し合いをしていきたいんだけどそのためにはS君どうしたら良いと思う?」と言う感じで教師が始めるわけです。もし誰かが後ろのほうの節穴からそれを見ていたとすれば、「ああこの教室ならなんとかなるよ。皆、助け合ってるよ。あの先生もなかなか立派なもんだねえ。」なんて思いますよね。そういう「話し合い」をしていくための地道な努力、訓練が必要なんです。まあこれはどこの職場も同じ基本的なことではあるのですが、教員免許の書き換えが何年とかはその後ですよね。

 

取材を終えて:

 年間700ほどの講師依頼がくるという武藤先生。そのうち200〜300ほどをしぼって引き受けており、全国ほとんどの県で講演をしてきているという。大変多忙な中、取材の時間を頂けたことにうさパンは感謝した。それにしても休職中の友人で教師のサヤカのことがやっぱりまた気になる。サヤカとの「話し合い」をまたしてみようと考えながらうさパンは帰途についたのだった・・・。

-前編はこちら-

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